ラッキーガールと雄英002

▼初のヒーロー基礎学にて。

のヒーローコスチュームはパイロットスーツのような身体にフィットしているデザインなので着替えの際は麗日と似ているからと随分盛り上がった。加えて麗日は"星空"が好きなようで自慢の星空ヘアにとても興味津々の様子。



ちゃんの髪なんでそんなキラキラなん!?」
「わからん!しかし最高のチャームポイント!」
「ブッめっちゃドヤ顔やん!」



色合いもだが星屑を鏤めたように輝く長い髪は麗日だけでなく女子たちの心をくすぐった。が人懐っこいというのもあるが芦戸や葉隠たちも積極的に話しかけてくれるので早くも名前で呼び合う仲になり女子間の人間関係は良好である。演習場に着いて麗日と緑谷が話しているのを微笑ましく眺めていたら下の方から視線を感じ目を向けると峰田が親指を立てていた。



「良い身体してんな」
「えっ」
「ナイス絶対領域 もうちょい露出あってもいいと思うぜ!」



何のアドバイスだ。彼の言う通り太ももは見えているしその上肩も出しているので充分だろうというかこれ以上だしたらダメじゃないか?そう思ったが視界の端に八百万が入りまあ彼女に比べたら、と妙に納得である。峰田のあけすけな態度には声を出して笑った。

2人1組でヒーローと敵に分かれて行う実践訓練では轟、障子と組むことになったのだが。ヒーローとして時間内に敵を捕まえるか敵が守っている"核"を回収するという内容で開始直後に障子が索敵を行い状況を把握した轟が外に出ていろと言って1人で乗り込んでしまった。あっという間に建物ごと凍らせる轟に感嘆の声を上げる。



「しっかし…これ私何の出番もないねー」
「…適材適所だ」
「障子くん優しい…」
「この組み合わせも加守のおかげかもしれない」
「たしかにね!でも役に立ちたかった!くそー!」



難なく敵を弱体化させ"核"の回収、仲間の身も守った轟は高い評価を受けていた。凍らせた建物をこれまた自身の個性で元に戻す彼にはにこやかに言う。



「轟くんがいれば夏も冬も快適だね!」
「……」
「……加守、クラスメイトを家電扱いするな」
「おっとごめんよ」



面と向かってそんなことを言われるとは。しかし裏のない笑顔で素直に頭を下げる姿を見ていると嫌な気持ちにはならなかった。

▼初めて食堂に行ってみた。

「あっ爆豪くん!」
「ああ"?」
「前失礼しまーす!」
「んだテメェ勝手に座んな!!」
「えっ誰か来る?約束してた!?」
「してねえ!」
「じゃあ失礼しまーす!」



バンッと机を叩きつけてもまったく怯まないに爆豪はデカい舌打ちを鳴らす。それも華麗にスルーして手元を見やった。



「何食べてるの?麻婆豆腐?」
「見りゃ分かんだろが」
「好きなの?」
「るっせえ黙って食え!!」
「はい」
「……」
「……」



怒鳴っても前に居座ったこの女、どれほどしつこく煩いタイプかと思えばそこからは本当に黙ってご飯を食べている。引き際を弁えているというかなんというか。あのまましゃべり続けられていたらブチ切れて爆破していただろうが一応静かに食事を終えることはできた。すると突然学校中に警報が鳴り響く。セキュリティ3が突破されたというアナウンスに先輩方曰く何者かが侵入してきたようだ。スタスタと食堂の出口を目指す爆豪の後を追う。



「爆豪くん待ってー!」
「ついてくんな!!」
「一緒に行こう!」
「話聞けや!!」



そう言いながらも無理に引き離そうとしないあたり、席に座ったときも思ったが悪い人ではないんだなとは彼を実は良い人認定した。避難する生徒たちの波に流されそうになり苛立つ爆豪の肩に触れる。



「あ"?」
「良いから!」



に触れられてからはあら不思議。この場にいる生徒の数は減るどころか増える一方のはずなのに気のせいか、自分を避けているのではというくらい急に進みやすくなった。スムーズに人波を抜け、遠くで「大丈ー夫!!」と叫んでいる飯田の声を聞きながらの方を見る。



「テメェ…何かしたんか」
「私の個性、運気操作!」
「……フン」



戦闘向きではない。が、いつものようにモブだ没個性だと言う気は起きなかった。落ち着きを取り戻す周囲より一足先に教室への道を進んでいく。



「さっきの誰に入れた」
「なに?」
「投票だよ!!他に入れただろ」
「ああ!飯田くんにいれた!よく分かったね?」



「もしかして名前覚えてくれてる?」とにこやかに言うに爆豪はそっぽ向いた。