とあるファミレスのテーブルにて。丸めた教科書で頭を叩かれる切島の唸る声を聞きながら
は黙々と出された問題を解いていた。今日は爆豪先生の指導のもと、切島と来たる期末テストへ向けてのテスト勉強の日である。
「一度で理解しろやクソ髪!!」
「イテッ」
この話が出た際きっとスパルタだと切島が言っていた通り、たしかに爆豪は厳しかった。がしかし、
は教科書攻撃をくらうことも怒鳴られることもなく行き詰った時には淡々とだが的確なアドバイスをしてくれるのでやはり女の子である自分には気を使ってくれているのかなとその優しさに内心にっこりしている。
「俺ばっかかよ!まー女の子殴んのはダメだけど」
「…一度言や理解するからだろが」
「たしかに そもそも
成績良い方だよな?」
「理数系苦手なの~」
イメージ通りだな、と切島が笑う向かいで爆豪はフンと鼻を鳴らした。
「トイレ行くついでに飲み物入れてくるわ 何が良い?」
「あっごめんね!アイスティーお願いします!」
「コーラ」
「りょーかい!」
空いたコップを持って席を離れる切島に手を振って「それにしても」と爆豪の方へ向き直る。
「やっぱり爆豪くん教えるの上手だね!」
「……当然だろ」
「うん!本当に助かるよ~ そうだ、お礼何がいいかな?」
「あ?いるかンなもん」
「そうはいかないよ!」
「いらねェ」
「貴重なお時間いただいてるので!ね?」
「…………チッ 休み空けとけや」
「うん?」
「考えとく」
「おっ!わかった~!」
本当にお礼はいらないといった様子であったが三度目の正直という言葉に則り最後の一押し、と粘って見れば彼の方が折れてくれた。やっぱり優しい。お礼の為に結局無理をさせていれば本末転倒なのだが彼の性格上プライベートに関してしたくないことは絶対しなさそうなので嫌というわけではないのだろうとポジティブに捉え、休みの日は爆豪の行きたいところに行き食べたいものを食べようと心に決めた。
「へいお待ち!」
「ふふ、ありがとう切島くん」
「ん?
ご機嫌だな?何かあった?」
「なんでもねーわ」
戻ってきてみれば楽しげに揺れているふわふわの尻尾が目に入ったので尋ねたのだが、爆豪にピシャッと切り捨てられ首を傾げる。
の方を見ても爆豪が何でもないと言うからか彼女も微笑むだけで話してはくれない。まあ、嬉しそうだからそれでいいか!切島も笑顔を浮かべて目の前の難問と向き合うため気合を入れ直した。