馴染みのあるコンクリートの上をのんびり歩く。森とかにもだいぶ慣れはしたけどやっぱり、十数年過ごした元の世界ではコンクリートとか整備された道を歩き続けていたからこういう住宅街に来ると落ち着く。ジャングルでサバイバルとか全然落ち着かないからね。うーん、お風呂に入りたい。この前の世界では素敵な女性陣がご一緒してくださってとっても助かりました。
「でかっ…猫、だよな…?」
後ろから男の人の声がする。でかい猫。その特徴は私のことを見て言っているんだろう。メインクーンがウロウロしてるなんてことないだろうしビックリするよね。歩みを止めて振り返ってみた。ウワッ沢田さん家の綱吉さん!ってことはここREBORNの世界か!本当は人間の私が内心ものすごいテンションになっていることなど知りもしない目の前の彼はしゃがんで緊張気味に手を伸ばしてきた。触れる直前で一瞬止まった手に首を傾げてから少し俯きながら撫でやすいように頭を突き出すと恐る恐る手を置く。そっと優しく撫でられているのに気持ち良くなってゆっくり目を閉じた。
「(か、かわいい…)あ、首輪してる…ってあ、ちょっ」
綱吉さんが困ったような声を出して手を離したので顔を上げてみると目の前にいきなり真っ黒の目が。
「(びくっ)」
「おいリボーン!その子ビックリしてるだろ!」
「うるせーぞダメツナ」
「(近い近い!)」
慌てて抱き上げようとする綱吉さんの手を叩き落としてじっと私を見る黒。おいおい綱吉さんだけじゃなくリボーンさんにも会っちゃったよモノホンだよ!スーツかっけ~!
「、か 良い名前だな」
「クルル、(ど、どうも)」
「俺はリボーンだぞ」
「猫相手に何してんだよ…」
綱吉さんがそう言うのも無理はないがリボーンさんなら動物と話すくらいワケないんじゃないでしょうか。何せリボーンさんだから。
「ツナ、連れて帰るぞ」
「はあ!?いや、他所んちの猫だろ!?」
「こんな良い女を放っておくつもりか?」
「いや良い女って…ちゃん猫じゃん…」
「だからお前はダメツナなんだ」
「何で!?」
エッまさか人間ってことバレてる!?リボーンさんでもそれはさすがに…、完全に否定できないのがリボーンさんである。っていうか良い女とかそういうの止めよう。照れ爆発しちゃうから。これだからイタリア男子は!そのイタリア男子は「行くぞ」と言ってすたすたと歩き出した。前を行く小さな背中とそばで口元を引き攣らせている綱吉さんを交互に見やると、視線に気付いた綱吉さんがこっちを見下ろす。
「あー…えっと、うちに遊びに来る?」
頬を掻きながら眉をハの字にさせて笑う彼の足に擦り寄ってみた。すると一瞬固まった綱吉さんはばっと私を抱きあげ腕の中に収めて何故か沢田家まで全力疾走した。
「~…!!」
家に着いた途端リボーンさんに蹴り飛ばされた綱吉さんは泣きながら「いきなり走り出してごめんね」と謝ってくれた。いや私は別に構わないんだけれども。テーブルに乗せられた私は横にいるリボーンさんに撫でられながら、怒ってないし気にしていないというのを伝えるために綱吉さんの頬に頭を擦りつける。と瞬間愛銃を取り出して綱吉さんの額に突きつけるリボーンさん。
「(天国と地獄が同時にやってきたー!?)」
とりあえず綱吉さんが可哀想なので銃を前足で押さえて下ろす。涙目で嬉しそうにこっちを見る綱吉さん超可愛いです。
「ところで、ボンゴレにはいれ」
「相手猫だぞ!?」
「は人間だぞ」
「はあ!?」
おいおい猫をファミリーに勧誘とかシュールすぎんだろまったくどいつもこいつもやれやれだなっと思っているところでリボーンさんから爆弾を落とされた。やっぱりバレてる~~~!?リボーンさんといいどっかのぬらりひょんといい何なの?エスパーなの?
「見れば分かるだろ」
「いや分かんないよ!え、ちゃんほんとに…!?」
いや普通は分かんないよ。え、私が猫らしくないってわけじゃないよね?綱吉さん気付いてなかったもんね?常識人の綱吉さん気付いてなかったもんね!?しかしリボーンさんは確信を持って言ってるみたいだしこの人に嘘は通じないだろうから毎度の如く本当のことを良い感じに端折って話した。猫の姿で人間の言葉を話す私に綱吉さんはかなりびっくりしていたけど聞いている間にすぐ慣れたみたいで今は私の境遇に同情してくれている。それから綱吉さんのお母様、奈々さんにの手料理を頂いて、図々しくもお風呂まで借りた。シャワーだけなら大丈夫だから貸して下さいとお願いしたら、リボーンさんがビアンキがいるから一緒に入ってもらえばいいと言ってくれて本当に入れてもらった。ちなみにイーピンちゃんも一緒でしたぐうかわいい。お風呂からあがって綱吉さんのお部屋でのんびりしていると襲撃してきたぶろっこりランボさんに「ガハハハ!部下にしてやるもんね!」と言われて少し、ほんの少しいらっとしたので全力軽く猫パンチをお見舞いしておいた。リボーンさんからサムズアップをいただきました。
「ちゃんそろそろ寝る?」
「うん、何から何までありがとう」
「、一緒に寝るぞ」
「そっ それはマズいだろリボーン!」
本日何度目かのリボーンさんのびっくり発言に、綱吉さんはさっと私を抱き上げてリボーンさんから離す。がしかしそんなことで彼を止められるはずも無く、赤ん坊の身体からとは思えない威力のキックで綱吉さんを倒し私を連れて自分の寝床についた。しばらく私の頭やらを撫でた後ぎゅっと私のモフ毛に顔を埋め彼は呟く。良い抱き枕が手に入った、と。
